周木律「堂シリーズ」を一気読みした

お久しぶりです。

更新していなくても毎日20前後のアクセスがあることに驚いています月竜絢人です(ノンブレス)

 

さて、今回は久しぶりに読者感想でーす。

皆様、周木律さんの「堂シリーズ」というミステリをご存知でしょうか?

 

kodanshabunko.com

 

いわゆる館もののミステリです。

館もの――それは閉ざされた空間と変わった住民がおりなすハーモニー!!

(なんのこっちゃ)

 

一作目の眼球堂に惹かれて買いまして――気づけば全作買ってましたん、ありゃりゃ。

そんな訳で感想です。

 

※ネタバレ全開!! ご注意!!

引用は全部公式サイトからです。

あとなんも考えずに書いてるよ! 整合性とかは求めちゃだめだ!

 

 

 

・一作目「眼球堂の殺人」

神の書、"The Book(ザ・ブック)"を探し求める者、放浪の数学者・十和田只人(とわだただひと)がジャーナリスト・陸奥藍子(むつあいこ)と訪れたのは、狂気の天才建築学者驫木煬(とどろきよう)の巨大にして奇怪な邸宅"眼球堂"だった。二人と共に招かれた各界の天才たちを次々と事件と謎が見舞う。密室、館、メフィスト賞受賞作にして「堂」シリーズ第一作となった傑作本格ミステリ

 館が回転するってどーいうこったい。

こういうトリックは斜め邸の殺人以来だ……!

 

上の公式サイトにもある「善知鳥神」(うとう・かみ)という人がですね、最後の最後で出てくるんですが……この神(それにしても登場人物に神って名付けるの凄いな)と十和田さんとの会話がですね、(この時点では)ものすごおおおおおく「全てがFになる」じゃないか!と思ってしまいました。

ぜーんぜんそんなことなかったです……。

 

・二作目「双孔堂の殺人」

 

二重鍵状の館、「Double Torus(ダブル トーラス)」。警察庁キャリア、宮司司(ぐうじつかさ)は放浪の数学者、十和田只人(とわだただひと)に会うため、そこへ向かう。だが彼を待っていたのは二つの密室殺人と容疑者となった十和田の姿だった。建築物の謎、数学者たちの秘された物語。シリーズとして再構築された世界にミステリの面白さが溢れる。「堂」シリーズ第二弾。

 

いっちばん数学話が分からなかった話。

えーっと堂シリーズは数学者が主人公であるが故に数学の話がいっぱいでてくるのですが、この双孔堂の「ダブル・トーラス」は本当に分かりませんでした。出てくる新キャラクター宮司司(司、の文字連続はどうにかならなかったのか)が解説してくれるんですけどー……それを聞いても分からなかったのです。

犯人とかトリックは分かりやすい方。

事件の終盤これ以上死人が出ない理由として只人が「ここはダブル・トーラスだから」っていう言い切るのはかっこよかった。

 

・三作目「五覚堂の殺人」

放浪の数学者、十和田只人は美しき天才、善知鳥神に導かれ第三の館へ。そこで見せられたものは起きたばかりの事件の映像――それは五覚堂に閉じ込められた哲学者、志田幾郎の一族と警察庁キャリア、宮司司の妹、百合子を襲う連続密室殺人だった。「既に起きた」事件に十和田はどう挑むのか。館&理系ミステリ第三弾!

 

他の館ものを読んでいたせいか「ああ、あのパターンか?」と勘づいてしまいました。

数学の話はですね、二作目に比べれば分かりやすいです。

あとこれは一回読み終わってからもう一回読むと作者がしかけた叙述トリックがよく分かります(登場人物の中に一人盲目の人が居るんですが、只人が指摘するまで私は分からなかった)(さらって読めてしまうからですねー)

司のシスコンぶりがよく分かる三作目。

 

・四作目「伽藍堂の殺人」

謎の宗教団体・BT教団の施設だった二つの館の建つ伽藍島。リーマン予想解決に関わる講演会のため訪れた、放浪の数学者・十和田只人と天才・善知鳥(うとう)神、宮司兄妹。その夜、ともに招かれた数学者二人が不可能と思われる"瞬間移動"殺人の犠牲となる。秘められた不穏な物語がさらに動く"堂"シリーズ第四弾。

 何があったんだ只人。

と思ってしまいました。お前探偵じゃなかったのかよ……犯人かよ……!

四作目にして明らかになる宮司司と宮司百合子の関係。

(血が繋がっていない)

……実は、二作目から示唆されていたことだったり……。

具体的な描写は忘れましたが、司が父親と母親のことを思い出して「家族を失った」的なことを言う場面があるんですが、ここに百合子ちゃん居ないんですよ……司と百合子ちゃんは十六歳離れてて、父親と母親が死んだのも十六年前。百合子ちゃんが居るのに「家族を失った」と言うのは司のキャラクターとしてはありえない――とか書いてますけど、この事に気づいたのはもちろん二巡目です。

さらりと読みすぎだろ、私。

 

・五作目「教会堂の殺人」

館で待つのは、絶望か、祈りか。
天才数学者が仕掛ける究極の罠!

訪れた者を次々と死に誘う狂気の館、教会堂。
失踪した部下を追い、警察庁キャリアの司は館に足を踏み入れる。そこで待ち受けていたのは、水死・焼死・窒息死などを引き起こす数多の死の罠! 司の足跡をたどり、妹の百合子もまた館に向かう。
死のゲームと、天才数学者が求める極限の問いに、唯一解はあるのか!?

 

まじかこんな展開にしちゃうのか作者ーーーーーー!!!

(仕事が始まる前に読んで驚愕の表情してたらチームメンバーにどうしたのと言われた)

だってさ、二作目、三作目と個性豊かなサブキャラクターがいっぱい出てきた訳ですよ。その彼らを何で殺す。

宮司司まで殺すこたあないでしょおおおおおおお!!

そして館が犯人とはこはいかに。

(もうちょっと具体的に言うと、館の仕掛けにはまってしまうと死んでしまう。仕掛けを解くには独りでは無理)

どこかのブログで「そもそもこんなことをする理由が分からない」と書いてありました。まあ確かになー……算額がーと言われてもなー……。私も初回はぽかんでした。シリーズ最後まで読むと、なんとなーく「ああ」と言えた……ぐらい。

作者自身も「この展開で良かったのか」と言ってましたし……。

あーあとこの話だったかな百合子ちゃんが善知鳥神の妹の善知鳥水仙だって分かるの。

これもなんとなく察しがついてました。だって神が百合子ちゃんのこと気にしすぎなんだもの……。

 

・六作目「鏡面堂の殺人」

すべての事件【ものがたり】はここから始まった。
謎は原点【ゼロ】に収束する――鏡の館が写す過去と現在。

大人気シリーズ、クライマックス!

異形の建築家が手掛けた初めての館、鏡面堂。すべての館の原型たる建物を訪れた百合子に、ある手記が手渡される。そこには、かつてここで起きたふたつの惨劇が記されていた。無明の闇に閉ざされた密室と消えた凶器。館に張り巡らされた罠とWHO、WHY、HOWの謎。原点の殺人は最後の事件へ繋がっていく!

 

 

堂シリーズの黒幕、藤衛(ふじ・まもる)の過去を描き、また宮司司、宮司百合子、善知鳥神、十和田只人の関連性を読み解いた話。

最初手記の書き手は「只人の父親?」と思ってたんですが、司の父親でした。数学世界においていかに藤衛が絶対的だったのかが描かれています。

……ん、トリック?

あんまり覚えていません(こら)。

多分この次の大聖堂の殺人のインパクトが大きすぎて吹き飛んだ。

 

 

・最終作「大聖堂の殺人」

解は示された。大人気シリーズ、ついに終幕!
天才数学者が館に隠した時と距離を超える最後の謎。

すべての事件を操る数学者・藤衛に招かれ、北海道の孤島に聳え立つ大聖堂を訪れた宮司百合子。そこは、宮司家の両親が命を落とした場所だった。災禍再び、リーマン予想の解を巡り、焼死や凍死など不可解な殺人が発生する。しかし、藤は遠く離れた襟裳岬で講演の最中だった。
大人気「堂」シリーズ、ここに証明終了!

 

島が移動するとか音声操作で気圧操作して、焼死/凍死させるとかすごすぎませんか。

最後に犯人の藤衛(そうそう書いてなかったですが、善知鳥神と善知鳥水仙のパパね)は只人に突き落とされる(というか……持ち上げられて落とされる?)んですが……ここに行きつくまでの百合子ちゃんの説得が見事でな……そして只人と百合子ちゃんを最初に繋いだ司が生み出した奇跡……落ちそうになった百合子の手首と彼女を救おうとした只人の手首に司のネクタイが絡みついて、百合子を助ける――「んなことあるかい。物語だからできたんだよ」と言ってしまえばおしまいなのだけれど……いいよなあ、あれ。そして自分を取り戻した只人は一人で島に残り――。

 

エピローグでは「周木律=宮司百合子」であると示され、そこに只人がやってくる(この本の作者と共同研究がしたいといって押しかけてくる)ところで物語は終わる。

 

 

・まとめて

最初は「すべてがFになるの再来じゃん」と思ってたんです。

よくある館ものじゃん、と思ってたんです。

 

でも違いました。

館ものの仮面を被った、「父と娘」「崇拝者と信者」「兄と妹」という関係性を描いた作品です。ミステリ好きな方はもちろん、数学が絡んだお話を読みたい方、キャラクターに飢えている方、おすすめです。

 

そんな私はまた面白そうなミステリ買ったので、読んで時間があれば、また感想を書きます。

 

最近ゴッドイーターやらFGOやらで時間がとれないのです。