聖護院八ッ橋総本店さんのコラムは沁みる(皆読んで!)
みなさま、京都のお菓子と言えばなんですかー?
そう生八ッ橋ですよね!
先週、父がお土産として持って帰ってきた聖護院八ッ橋総本店さんの生八ッ橋。
その箱の中にこれが入っていました。
「秋の詩・宵闇」と書いてあります。
聖護院八ッ橋総本店さんのお菓子を買うとついてくるコラムみたいです。
何の気なしに読んでみたのですが……。
やばい。
この文章、沁みる。
いい文章というのはどんな目的でその文章が書かれたかによって異なりますよね。
レポートだったら、理路整然と書き手の主張が読み取りやすい文章。
ビジネス文章だったら用件が伝わりやすい文章。
手紙だったら自分が思っていることを素直に表現している文章。
ブログだったら読んだ人の心に何かを残せる文章。
(そうでありたいものです)
そして、こうしたコラムの場合は「情景が浮かんでくる」ような文章。
登場人物がどんな表情でどんなしぐさをしていて、その風景にあるもの、音、匂い、見えるもの、聞こえるもの、そういったものがうまく表現されていて、文章を読んでいるのにまるで映像が脳裏に浮かんでくる。
そんな文章。
聖護院八ッ橋総本店さんのコラムはまさにこれ。
冒頭の部分を引用します。
ここだけでも感動します。こんな短い文章で映像を描けるとは……!
日が暮れた後に庭からがさごそと音がしているので、これは野良猫にしては大きいところを見れば物取りではあるまいかとランプを片手に降りてみたところ、何のことは無い、大家が枯芙蓉※を摘んでいるのであった。
(※は私が付け足しています)
やっぱすごい。
(感想が小学生です)
この文章の中にどれだけの要素が入っているのか……。
分解してみます。
日が暮れた後……夕方の後、紫~濃紺の空。
庭からがさごそという音……がさごそという音が立つほど、草が生い茂った庭。
野良猫にしてみれば大きいところを~……語り手が庭を見ている。
ランプを片手に降りてみたところ……語り手は二階に居た。
大家が枯芙蓉を~……音の正体が判明。
時間帯、場所、登場人物、何が起きたのか、そしてどうなったのか。
全部入ってます。
こんな短い文章の中に。
あと小道具の「ランプ」がいい雰囲気を出してます。
多分これが「懐中電灯」だったら……
……あるまいかと懐中電灯を片手に降りてみたところ、……
何か、違う。
この後も文章は続いて、
・大家さん
・隣人の学生
・松村という名前のおっちゃん
・八ッ橋屋
と登場人物が増えていきます。
彼らがどんな人物なのかを読み手に伝えるということは多分小説(漫画や映画においても)で、最も重要な点だと私は思っているのですが、その描写もまたうまい。
語り手と同様、大家さんに何かあったら大変だと出てきた学生。
下駄の音を高らかに鳴らして登場する松村のおっちゃん。
(しかも枯芙蓉摘むの手伝うから泊めてくれなんて言う)
松村のおっちゃんに困惑する語り手を「良いではないか、それもまた」とたしなめる八ッ橋屋。
人が集まったことに、嬉しそうな大家。
この軽い読み物の、たった数百しかない文字の中で誰がどんな人なのか、分かる。
すごい(二回目)
……という訳で皆さん
聖護院八ッ橋総本店さんのコラム、読んでみて下さい!
リンク貼っておくので……!
それにしても、バックナンバーが何で2010年まで……!
更新面倒になったんですか聖護院八ッ橋総本店さん……!
もしそうなら、言って下さい……!
7年分のコラム……!
更新しに行きますから……!
生八ッ橋また食べたくなってきた。
でももう家にない。
代わりに。
これ食べます。
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※枯芙蓉……読み方は「かれふよう」冬の季語だそうです。こんな感じのお花らしい。
現世や淡き日を受く枯芙蓉: 天井桟敷からの風景様から引用させていただきました。
摘んでどうするのか……は分かりませんでした。
どなたか教えて下さい。